水出し昆布だしをヨードの含有量に配慮しながら食生活に取り入れる方法
はじめに
10月に発売される山内泰介医師監修の『甲状腺ホルモンの底力』(K&M企画室)の第6章には、健康をキープするのに望ましいヨード含有食品との付き合い方の提案が載っています。
私、Acco MUKAWAは第6章の監修をさせて頂きました。こちらの甲状腺ノートでは書籍内で書ききれなかったヨードのことやその他の栄養素について触れていきたいと思います。
今回は水出し昆布だしの取り方について詳しくお伝えします。
昆布とヨード(ヨウ素)、甲状腺の関係について
なぜ、はじめのテーマが水出し昆布だしなのかというところからお話していきたいと思います。
昆布にはヨード(ヨウ素)が非常に多く含まれています。ヨードは食事から摂取が必要なミネラルで、甲状腺ホルモンの材料です。甲状腺ホルモンは新陳代謝を調整する大切なホルモンなのですが、ヨード摂取量の過不足は甲状腺ホルモンバランスに影響を与えます。甲状腺ホルモンのアンバランスは全身の不調の原因になってしまうため、ヨードの過不足には注意が必要です。
昆布だしはとても美味しく、つい飲み過ぎてしまいますが、昆布だし中には昆布のヨードが溶け出しています。そのため、昆布だしを健康的な食生活に生かすには、ヨード量を考慮しただしの取り方が大切です。書籍『甲状腺ホルモンの底力』92ぺージの解説と併せてご覧ください。
[水出しの昆布だしの取り方]
材料
- 清潔な食品保存容器(1リットル以上の水が入るもの)
- 乾燥昆布 10g(出汁用の真昆布など)
- 水1リットル(常温の軟水がおすすめ)
ポイント1. 昆布は水に濡れると傷みやすくなりますので清潔に取り扱いましょう。
水出し昆布だしのとり方
- 水で濡らして固く絞ったキッチンペーパー又は清潔な布巾で昆布表面の汚れをさっとふき取ります。昆布表面に白く浮き出た粉は「マンニット」という糖アルコールです。昆布だしに自然な甘みを与えてくれますので、ふき取らないようにしましょう。
- 容器に昆布と常温の水を入れ、冷蔵庫で一晩保存して昆布の旨味を抽出します。翌朝、昆布を取り出します。画像は冷蔵庫で10時間保存したものです。昆布を取り出してみると、下の画像のように水にとろみがついていて、かすかに昆布色に色づいているのがわかります。
ポイント2. 漬け込み時間が長すぎる場合や保存温度が高い場合は、昆布が溶けたり、水が傷みやすくなりますので注意しましょう。
[水出し昆布だしの使い方]
使い方
水出し昆布だしはおおよそ5カップ分できあがります。ヨード量を考慮すると、1週間で1人5カップ(作っただし全量)までが適量です。みそ汁や煮物、炊き込みご飯など、さまざまな料理に活用しましょう。
水出し昆布だしの日持ちと保存方法
風味の劣化や衛生面を考慮し、ご家族で2、3日以内に使い切りましょう。残ってしまう場合はレシピの半量で作るか、あらかじめ製氷皿などに移して冷凍保存しましょう。冷凍保存した場合も1か月以内に使い切りましょう。
ポイント3. だしは加熱調理をしてひと煮立ちさせてから食べましょう。
[昆布だし中のヨード量]
上記のレシピで水出し昆布だしを作ると、1リットル中の推定ヨード量は約20000μgです。ヨード量は昆布の種類や様々な条件で変動しますので、あくまで参考値としてください。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」によると、健康な人の場合、1週間あたりのヨード摂取量は約20000μgまでなら問題ないとされています(*1)。
上記レシピで煮出した場合や、一般的なレシピの水出しや煮出しの昆布だし、煮出しのかつお・昆布だしでは、ヨード含有量が2~3倍近くになりますので、気をつけましょう(*2)。
まとめ
昆布や昆布だしにはヨードが非常に多く含まれています。ヨードの過不足は甲状腺ホルモンに影響を与えます。ヨード量を考慮しながら美味しい昆布だしを楽しみましょう。
次回は、水出し昆布だしのうま味をより一層引き出す食材やレシピをご紹介します。