「水出し昆布だしで美味しい味噌汁を作るコツ」と「甲状腺ホルモンを助けるセレン」のこと
朝晩に肌寒さを感じるようになり、温かい味噌汁が美味しい季節になってきました。前回ご紹介した水出し昆布だしを用い、今日はうま味たっぷりの味噌汁を作ってみましょう!
美味しい味噌汁を作るための基本
美味しい味噌汁を作るコツは、美味しいだしとその使い方にあります。今日はここでその基本を押さえておきましょう。
上品で繊細なうま味が特徴的な水出し昆布だし。昆布だしに含まれる主なうま味成分はグルタミン酸です。
昆布に含まれるグルタミン酸は、昆布中のアミノ酸総量の20%程度をも占めており、まさにうま味の宝庫です。特に前回水出し昆布だしに用いた真昆布は、アミノ酸総量の25%を占めるほど、グルタミン酸が豊富に含まれていますよ*。
昆布だし単独でも十分に美味しいはずですが、それでも何となく物足りないと感じることもあるでしょう。
といって、昆布だしをどんどん濃くするのは非効率で、もっと効果的に美味しさを引き出す方法があります。(昆布だしを濃くすれば、栄養面でもヨードの過剰になってしまいます!)
その方法とは、異なるタイプのうま味成分を組み合わせること。こうすることで更なる美味しさを引き出せることをご存じですか?
グルタミン酸と好相性なうま味成分
昆布に含まれるうま味成分はアミノ酸系のグルタミン酸です。これと相性が良いのは、核酸系うま味成分であるイノシン酸やグアニル酸です。
イノシン酸はかつお節や煮干しなどに、グアニル酸は干ししいたけに豊富に含まれています。
どれもうま味成分なので単独でも美味しいのですが、組み合わせることで飛躍的にうま味がアップします。
ここでは昆布だし×かつお節を用い、手軽に美味しい味噌汁を作ってみましょう。定番の組み合わせですが、美味しさを引き出すためにはいくつかのポイントがありますよ。さっそく作り方をご覧ください。
水出し昆布だしと豆腐の白味噌椀
材料(2人分)
- 水出し昆布だし 1.5カップ
- 絹ごし豆腐 1/2丁(半分にカット)
- 西京味噌 大さじ1.5
- 糸カツオ 大さじ2(鰹節1袋でも代用可)
作り方
- 小鍋に絹ごし豆腐と昆布だしを入れひと煮立ちさせます
- 火を止めて西京味噌を溶き入れ、椀に盛り付けます
- 豆腐の上に糸カツオをトッピングして完成です
(だしや味噌の量はお好みで加減してください)
ポイント1. 水出し昆布だしには、繊細な味わいの白味噌が好相性です。
ポイント2. 味噌は風味が飛びやすいため、できるだけ加熱しないようにしてください。
ポイント3. 召し上がる際に糸カツオを味噌汁に軽く混ぜることで、口のなかでうま味の相乗効果が広がりますよ。
かつお節に含まれるミネラルと甲状腺の関係
今日は昆布やかつお節のうま味成分に注目してきましたが、かつお節にはセレンという微量ミネラルも豊富に含まれていることをご存じですか?
実は、セレンは本サイトのテーマである「甲状腺」と深いかかわりがあります。
微量ミネラルのセレンは、甲状腺ホルモンの生成や働きをサポートする酵素の材料になる大切な栄養素です。昆布に豊富に含まれるヨードは甲状腺ホルモンそのものの材料ですので、セレンとヨードは二人三脚で甲状腺ホルモンの働きを助ける存在といえます。
セレンもとればとるほど良いわけではなく、ヨード同様に過剰にも注意が必要です。栄養バランスの良い食生活のなかで、かつお節のちょい足し程度までが、まずは適量の目安と考えておきましょう。
水出し昆布だしを用意しておけばあっという間に完成するレシピですので、ほっと一息つきたい肌寒い日に、ぜひお試しくださいね!
参考文献
*:文部科学省,「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html