代謝を支える甲状腺ホルモン:ヨウ素を含む食事と健康的な食生活の秘訣

こんにちは、管理栄養士のAcco MUKAWAです。
寒さが一段と厳しくなってきましたが、皆さま、風邪などは引かれていませんか?
今年は、栄養についてさまざまなお話をお届けする予定です。今回はその第一歩として、甲状腺ホルモンと食生活の基本的な関係についてご紹介します。
甲状腺ホルモンとは?

甲状腺ホルモンは、首の前側付け根部分にある甲状腺という小さな臓器から分泌される、健康を支える大切なホルモンです。このホルモンは身体の新陳代謝や成長、エネルギー生成に欠かせません。主にT4(サイロキシン)とT3(トリヨードサイロニン)の2種類があり、T3が直接細胞に作用して、炭水化物、脂質、タンパク質という3大栄養素の代謝を調整します。
甲状腺ホルモンと食生活の関係
甲状腺ホルモンの働きによって、食事から摂取した栄養素が効率よくエネルギーに変換され、日々の活動を支えるエネルギーが生み出されます。
また、栄養素には甲状腺ホルモンの働きを助ける役割もあり、過不足はホルモンバランスを乱し、全身の健康に影響を及ぼすことがあります。
ヨウ素をはじめとする栄養素が甲状腺ホルモンに与える影響
甲状腺ホルモンの主成分であるヨウ素は、ホルモンの適切な分泌を支える重要な栄養素です。しかし、ヨウ素は不足も過剰も問題を引き起こすため、適量を心がけることが大切です※。
その他のビタミンやミネラルも甲状腺ホルモンの調整に関与しており、ホルモンの変換や活性化を助ける役割を持っています。
食生活を振り返る:甲状腺ホルモンに悪影響を与える例
次のような食生活を送っていませんか?食生活が甲状腺ホルモンに影響を与えているかもしれません。
- 偏食
特定の食品ばかり食べていると、必要な栄養素が不足してしまいます。例えば、海藻類や魚介類を全く食べない場合、ヨウ素不足により甲状腺ホルモンの合成が妨げられることがあります。
- 無理なダイエット
極端なカロリー制限や特定の栄養素を排除するダイエットは、甲状腺ホルモンのバランスを乱す原因になります。特に、炭水化物を極端に減らすとエネルギー生成が滞り、代謝が低下してしまいます。
40代・50代の女性は要注意!食事を抜くと甲状腺ホルモンバランスが崩れる?

最近、「太りやすくなった」と感じて食事を抜くことはありませんか?
特に40代・50代の女性は代謝の低下を実感する方が増えますが、食事量を減らしていると、甲状腺ホルモンに悪影響を与え、さらに代謝を落としてしまう可能性があります。
甲状腺ホルモンが乱れるとどうなる?
甲状腺ホルモンが不足すると、疲労感、寒がり、便秘、体重増加などの症状が現れることがあります。一方で、過剰に分泌されると、心拍数の増加、体重減少などの症状が見られることがあります。
さらに、こういった甲状腺ホルモンのアンバランスは、他のホルモンの働きにも影響を及ぼし、肌荒れ、月経不順、貧血、脱毛、骨密度の低下、睡眠障害、集中力の低下、イライラや不安感といった全身の不調にもつながることが知られています。
食事を整えて元気と美しさを取り戻そう
甲状腺ホルモンは、代謝やエネルギー生成を支える大切な存在です。まずは、バランスの良い食事を心がけること、その上で、ご自身の体質やライフスタイルに合わせて食生活を調整し、リラックスや適度な運動を組み合わせることで、甲状腺ホルモンの働きをサポートし、心身の健康を守ることができます。
偏った食習慣を見直し、ビタミンやミネラルを意識した食事は、甲状腺ホルモンのバランスをさらに整える助けになります。
今年は甲状腺ホルモンを意識し、小さな改善を積み重ね、元気で美しい自分を引き出していきませんか?
※甲状腺ホルモンについてのわかりやすい解説や、適量のヨウ素のとり方について、書籍「甲状腺ホルモンの底力」や関連記事「水出しの昆布だしをヨードの含有量に配慮しながら取り入れる方法」をご覧ください。